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中小工務店のデータ管理について[後編] | ブログ | 外断熱 東京 注文住宅 長期優良住宅 黒柳建設

スタッフブログ

こんにちは、東京小金井で外断熱・涼温な家を建てる工務店、黒柳建設のWEB担当/システム管理者/営業/現場監督/アフターメンテナンス/OB顧客様係の黒柳一聡です。
さっそく「システム管理者」の肩書を追加しました。

 

 

本来、役職や肩書が付くことはその人の能力への評価とされるべきなのでしょうが、中小企業的には「何でも屋」と同義であるので、非常に複雑です。

スペシャリストよりもマルチタレントが重用され、かつ専門も求められるやりがいのあるフィールドです(ヤケ)。

黒柳建設は、そのようなスーパーユーティリティプレイヤーが思う存分実力を発揮できる環境の会社です(ほのかに香るブラック臭)・・・・・もちろん、冗談です。

 

さて、前回はデータを扱う際の危機管理を学んだ経緯について書きました。今回は実践編です。
その前に、最悪のケースと現状のまとめから入ります。

 

 

 

データ消失が招いた恐ろしい事例

どんな堅牢なシステムを組んでも、何重にバックアップを取っても、分散化・クラウド化しても、それはある日突然に起こります。

 

 

 

最悪のケーススタディ3例
例えば三陸のある自治体ではあの大津波で住民基本台帳のデータが本体及びバックアップ含めて、システムが全て市役所ごと流されて消失しました。そのため罹災証明などの各種届出・発行の処理が大混乱しました。
 
またあるクラウドサービスを提供していた会社では、ヒューマンエラーで4重のバックアップシステム全てに別のテスト用データを上書きしてしまい、データ復旧を放棄したまま倒産しました。
 
当然、その会社のクラウドに顧客履歴情報などを依存していた会社、特にECサイト系の会社は大打撃を受けて業務遂行が不可能に陥りました。
 
またある某大手銀行や某元国有鉄道では他社とのシステム統合の際に原因不明の不具合が発生し、大規模なシステム障害を引き起こしました。
 
幸い個人のデータなどは無事でしたが、日本全国のオンラインシステムが完全にストップしたり、全線に大幅なダイヤの乱れが発生したりと、社会的にも大変な損害が発生しました。
 
 
 
 
教訓と学び
1つ目の事例は、想定もしていない天変地異の後でも、システムは復旧しなければならないことがわかります。
「津波で流されたんじゃあしょうがないね、でも早く直してね、それがないと回らないから、こっちも待ったなしだから」
 
2つ目の事例からは、顧客情報など会社のコアの部分の情報を他所へ握られることの恐ろしさがわかります。
コストの掛かるデータ管理を委託してコスト削減を達成するのはいいのですが、アンコントロールでは命綱を放棄しているのも同様です。
 
3つ目の事例では、動いていたシステムが止まるだけで、損害は加速度的だるま式に増加していくことを目の当たりにしました。
 
それが「ある」「動いている」ことを前提に回っている組織は、流れが阻害されると非常に脆く、損害も広範囲に渡ってしまいます。
 
どれもデータを扱っている者としては背筋がゾクゾクする話です。
 
誰も幸せになっていない現代の大災厄です。
 
 
 
建築会社・工務店も他人ごとではない
IT化が遅れている建築会社でも、図面はCADで書いていますし、顧客データや見積書もデータ化しています、工事写真はデジカメデータですし、仕様書や各種書類はエクセルデータです。
 
これが全部消えたとなると、完全に業務はストップし、復旧の目処すらつきません。
 
全て手書きで紙管理であれば心配ないのですが、今更昭和に逆行するのは不可能です。
 
(一応、過去の図面はすべて紙で保管してあるため、全くの消失とはイコールではありませんが)
 
これはどんな商売でもPCを使っていれば、当たり前に想定していなければいけないリスク管理です。
 
ではどうすればいいのか、これはもうバックアップしかありません。
 
最新データのコピーをとり続ける仕組みを構築し、回し続けて不測の事態に備えるのです。 
 

実践!データ管理は正・副・予備の3系統

では黒柳建設ではどのようなバックアップ体制を構築しているか、また掛かったコストはどのくらいか、運用中に発生した問題は、将来どのような体制へ移行するか、順を追って書いていこうと思います。
 
 
 
集中管理・集中バックアップ
まず、個々のPCですが、原則手を出していません。
 
その代わり、データは全てローカルではなく、ネットワークハードディスクの方へ保管しています。最悪、ある日突然ブルースクリーンが訪れても、別なパソコンからネットワークハードディスクのデータを読み込むことで、作業を継続することができます。
 
クライアントサーバ方式のワークステーションのような使い方です。ネットワークハードディスクには、目的に応じたデータスペースと個人用のデータスペースを割り当てており、データの一元管理をしています。これはUnix・Linux系の管理方式をなんとなく模しています。
 
この方式にはメリットデメリットの両面があり、個々のPCを管理する手間がいらない分、大元のハードディスクが飛んだらデータが全滅するリスクがあります。
 
そのためネットワークハードディスクを集中管理しなければいけません。と、ここまでまとめていて気付いたのですが、これって涼温換気の換気機械と清浄フィルターの方式と一緒ですね。
 
外気との空気のやり取りを一箇所に集中することで、継続した管理が必要ですが、メンテなどの総コストを抑制しています。
 
 
 
3重のバックアップ体制の内訳
では、ネットワークハードディスクのデータ管理、データのバックアップの詳細です。
 
方式としては、ハードディスク内部のRAID1で1重、同一ハードディスクへのミラーリングで2重、更に外付けハードディスクで3重、外付けハードディスクは複数台あるので実質は3重プラスアルファ、これだけのバックアップを取っています。
 
ネットワークハードディスクにはバッファロー社の2テラのNASを2台、正副で運用しており、正(主機)を通常使用、副を外部ミラーリングバックアップ用として使っています。
 
主機は内部でRAID1を組んでおり、主機単体でも内部ミラーリングバックアップをしています。
 
現役のデータに対し、コピーを別系統で2つ取り続けているのです。
 
 
※ミラーリングバックアップとは、その名の通り写し鏡のようにオリジナルと寸分違わぬコピーをし続けることで、主機がダウンしても副機が即座にオリジナルデータの最新コピーを提供できる状態のバックアップ体制のことを指します。
 
そして更に副機のデータを定期的に手動で外付けハードディスク(予備機)にコピーを取っており、こちらは差分ではなく全データのバックアップとしています。
 
バックアップ後は予備機をネットワークから切断し、電源を落として外部からの衝撃や過電流・停電から隔離しています。
 
これで主機がダウンしても、副機からその時点での最新データを外部へ一旦バックアップを取った後、即座に通常使用用途に昇格させ、その間に主機の復旧または入れ替えを行うことができ、使用しているデータをシームレスに引き継げます。
 
また、万が一正副共に同時に障害が発生してしまった場合でも、予備機の最終バックアップデータを引き出せるので、致命傷となる全データの消失は回避できます。
 
 
正・副・予備の3系統、これが同時に落ちることなんて、そうそう考えられません・・・・・マンガやアニメじゃあるまいし。
 
今、できる範囲ではコストと安全の両面から、これが最善だと考えています。
 
 
 
 
掛かったコストはおいくら万円?
ちなみに、要したコストですが、ミラーリング用に同じ機種のネットワークハードディスクを二台新規購入し、一台当たり22,000円。外付けハードディスクは一台当たり8,000円を二台と、計60,000円程度でした。
 
その後、記録として残すだけで容量を喰うデジカメデータだけを別のネットワークハードディスクに移行し、フォトデータサーバとして独立させたので、そちらに15,000円ほど追加でかかりました。
 
合計すると、設備投資としての費用は約75,000円、データの移行やバックアップ設定の構築など、かかった手間は計上すると数日程度です。
 
 

安全装置として機能した2度のトラブル 

さて、単なる零細工務店のデータ管理としてはどう感じられるでしょうか?
 
やりすぎに感じられる方も多いと思います。
 
ですがこの体制で運用を始めて5年になりますが、すでに2度データ絡みのトラブルが発生しています。
 
2回ともバックアップが正常に機能していたため、被害は最小限に食い止められています。
 
それぞれ直近一週間ほどのデータ消失で済み、片方は後日サルベージされました。
 
何故か夏に集中するトラブル
1度目は落雷によるものと思われる過電流で主機の電源とそのファームウェアが損傷し、RAIDごとハードディスクがダウンしました。
 
RAIDによるミラーリングだけしか対策していなかったら、と考えると身震いします。
 
お盆休み期間中のことでしたので、正確な原因は不明です。
 
2度目は今でも原因不明ですが、フォトデータサーバがダウンしました。
 
これはごく最近のことなのでまだデータの復旧は試みていませんが、記録として残しておくだけの写真データを切り離しておかなければ、図面や様々な書類データなどの「今」使うデータも合わせて全滅していたところです。
 
両方ともハードディスクがダウンしたこと自体は運が悪かったのですが、やや過剰にデータ管理を行っていたことが功を奏した結果、業務が止まったりゼロからやり直したりするという事態は避けることができました。ほとんどのデータは無事だったのです。
 
結局のところ、復旧にかなり苦労したのですが、つくづく悪運に守られていたと感じます。
運は悪いけど、悪運は強い的な感じで。
 
 
 
 
今後の課題
今後の課題として、現行のシステムは全て事務所内に設置してあるので、地震や火災・停電などの災害には対応できないという問題点があります。
 
図面も機械も燃えてしまったらどうしようもありません。一応、外付けドライブを1台だけ金庫で保管するようにしていますが、より安全な体制が望ましいと考えています。
 
そこで、クラウドへのバックアップを検討しているのですが、総データ量が軽く500GB超えとシャレにならない容量なので、有料の事業者向けデータ保管サービスは軒並みコストが見合いません。
 
かと言って、個人向けの無料ストレージは容量が小さい上に、データ流出の危険性が伴います。
(個人向けなので、そもそも使えません)
 
特にGoogle先生などは、預かったデータをGoogleの営利活動に活用すると明言していますので論外です。
(内容をロボットでインデックス化し、ユーザに適した広告を表示するためと言ってはおりますが)
 
アクティブにクラウドとデータのやり取りを行うのであれば、ローカルのストレージを全廃し、クラウドに集約するというのも手ですが、あくまでも万が一のバックアップとしてしか考えていないので月に数万円も掛けられません。前述の例のように溶かされてしまったらそれこそお終いです。
 
この辺りはまだまだ検討が必要なので、今後の課題として常に情報を収集するようにしています。
 
 
ちなみに、私が入社する前までは(2009年)、業務用のかなり高額な(確か20万円くらいの)RAID付きネットワークハードディスクでデータを保管していたのですが、内部で復旧不可能なエラーが発生しており、片手系で運用されていました。
 
中小企業ではシステム管理者不在の状態が往々にしてありますので、充分に気をつけたいものです。 
 
 
 
 
 
※追記)
ネットワークハードディスクなどはすべて市販の物を使っています。
 
ITソリューションを提供している会社に頼むのも一つの手ですが、結局高いお金を払ってもデータの消失に最終的な責任を取れるとは考えにくいので、ハナから候補にいれていません。
 
何か良い方法やサービスがあれば、是非ともご教授下さい。
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